Tuesday, December 04, 2007

12月3日 日経教育面

12月3日の教育面は、
「バウチャー制度 改革での優先度低い」
神戸大学教授 小塩隆氏

ざっと読んだ限りの感想は、「本当にそうなのだろうか?」と多分に疑問を感じる。
主な論拠は次の通りだが、
消費者の選択の自由のためにバウチャー制を導入するなら私学による入学者の選別を制限しなければならない。制度 導入による金銭的メリットを受けるのは入試をクリア出来る学力を持つ家庭だけ。

教育の経済学的特性

1.親の属性に左右される。学校間の階層化につながる

2.学校間の階層化が進むとそれが生徒の格差拡大につながる可能性がある。
生徒同士が互いに影響を及ぼしあう「ピア効果」が偏差値の高い学校に強く働いているという研究結果があるから

3.教育の「規模の経済」ひとりあたりの教育コストは生徒数が増えるほど下がる。大規模校に通う生徒が優遇される。小規模校の生徒の不利益は回避すべき

4.バウチャー制度が教育の問題の解決にどこまで貢献出来るか疑問。
教育に無関心な親に育てられている子どもたちの教育環境の改善にバウチャー制度が貢献するかどうか疑問。
義務教育終了時点で不利な立場に正せないようにするために役立つとは思えない。
ある程度、競争の原理を働かせて意欲のある人たちに伸びる機会を与えること、公教育の現場の効率を促す(無駄遣いをなくす)ようなことをねらっているのがバウチャー制の考えの基だと思うのだが、「結果平等」の施策とはどうしても対立するのではないか?

一方、同一面のコラム「学び再考」 (お茶の水女子大教授 耳塚寛明氏)
現在の教育界の課題をわかりやすく指摘している。
『学校スリム化なら 親の富、子の将来左右』
<略>
子どもの学力は家庭の経済力と保護者の学歴期待によって規定される。日本社会は業績主義社会から親の富と願望が子供の将来を左右する社会(ペアレントクラシー)へと変質しつつある。
<略>
ペアレントクラシーを加速するか、歯止めをかけるのか、その選択はもはや教育予算の問題ではない。
日本社会はいま岐路に立つ。
近い将来訪れると思われる、国際競争時代において子どもたちが対等な立場にたてるよう。子どものためにも「学歴期待」は失わないようにしたいと思う。




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